鉛の風船

ロックです ジャズです ぼんくらなおっさんです

頑張れ少年!

今日の午後、夕方近く、近所のクソガキの中でもリーダー的存在の、要するに一番生意気でうるさいヤツ、仮に少し違いで「ゴウタ」とします、その「ゴウタ」がいつになくあわてた様子でやってきて、

 

「●●来てねえ?」

 

と、言うのです。

 

この●●と言うのは、夏休み早々から「ゴウタ」の家に遊びに来ている、彼の従兄弟。
母親が「ゴウタ」の父親の妹です。
母親の実家に遊びに来ているのですね。
こちらも仮に「マサユキ」とします。

で、話を聞くと、昼過ぎから「マサユキ」がいなくなり、皆で探しているのだが、いくら探しても見つからないとの事。

 

「帰っちゃったんじゃねえの?」
『あんな遠くまで帰れるわけねえ』
「どこ?」
『東京のほう』
「ふっ、東京ごときが遠くか、お前もまだまだガキだな」
『いいから、来てねえよね』
「朝から見てないよ、父ちゃんなんつってんだ(なんて言ってんだ)」
『探してる』
「ケータイは?」
『持ってねえ』
「おい!ももクロのCD貸してんだぞ、どうしてくれる」
『もーいいよ!』
「もう暗くなるかんな、お前ら川とか山とか行くな、オレが見てくるから」

 

「ゴウタ」の父親に電話をすると、一人でどこかに行くような子じゃないし、土地勘もあまりないはずだとのことで、とにかく私も捜索に加わりました。

 

とりあえず最も危険と思われる川に向かい、帰り支度をしている釣り人達に話を聞くも目撃情報は全く得られず。
本気で、ちょっとヤバいかも、と思いかけたとき、姪っ子(高3)から電話がありました。

 

『ゴウタんとこによく来る子、捕まえたんだけど』
「え?マサユキ?どこで?」
『駅、なんも言わないんだけど、放していい?』
「いやいや、お前絶対逃がすな」
『忙しんだよ』
「どうせ獣医さんとこにお茶しに行くだけだろ」
『お茶じゃないし』
「いーから、すぐ行くから待ってろ」
『お茶じゃない、C1000とか、ポカリとか、、、』

 

「ゴウタ」の父親に連絡し、私が車で迎えに行きました。
「ゴウタ」と共に。

 

駅までの道のり、いつもはうるさい「ゴウタ」がグッと口を固く結び、じっと前を見据えていました。

 

程なく駅に着くと、「マサユキ」はタオルで手首を縛られ、文字通り “捕まえられて” いて、姪っ子、やり過ぎだし、みんな見てるし。

 

そして、車を停めるや否や「ゴウタ」が飛び降り、なんと「マサユキ」をひっぱたいたのです。
ばちーーーん!!!と。

 

『何やってんだよ、○○さん(私)のももクロどうしたんだよ、ももクロだよ!』

 

いや、おい、「ゴウタ」そうじゃないだろ、声でかいよ。。。

ここは、

“みんな心配して探し回ってたんだぞ”
“川にでも落ちてたらどうすんだ”
“でも無事でよかった”

そういう、ちょっと感動する場面のハズだろ。

 

もう、バカばっかでイヤだ。

 

ひっぱたかれた「マサユキ」は、と言えば半ベソかいて、それでも少しホッとした表情で姪っ子の拘束から開放されていました。

ももクロ?ゴウタの部屋にあるよ』

とボソボソ言いながら。
手の平うっ血してないか?
姪っ子、容赦なさ過ぎ。

 

姪っ子に。

「一緒に乗ってく?」
『チャリだから』
「ああ、じゃあ、ありがとな」
ももクロって?』
「何でもない、こっちの話」
『ゴウタ!!!お前何かやった?!!』
「ちげーよ!」
『マジ?お前チャリ乗れないのあたしが、、、』
「ああーーーわかったよ、ホントに何でもねえし」

 

で、3人で帰宅の途につきました。

 

車中、「ゴウタ」も私も「マサユキ」には何も聞かずに雑談で笑いました。

 

「お前ら、アイツ(姪っ子)に何でそんなに弱えーの?」
『○○(姪っ子)が強えんだよ』
「別に強かねえだろ、もう、お前のが体格いいじゃんか」
『でも、○○には敵わねえ』
「ははは、もう半年もすればいなくなるかもしんないから我慢しろ」

 

「ゴウタ」と「マサユキ」を無事送り届け、特に怒るでもなく「マサユキ」を “よかったよかった” と迎え入れる「ゴウタ」の父親を尻目にさっさと帰ろうとすると慌てて呼び止められ、お!何か旨いものでも振舞ってくれるのかと思いきや、なんだか少し深刻な様子でそのまま話しをし出し。

 

聞けば、「マサユキ」の母親は、今離婚訴訟の真っ最中なのだそうでした。
いつもはお盆の頃に遊びに来る彼が夏休み突入と同時に泊まりに来ていたのはそういう事情だったようです。

確か妹がいるはずなのですがその子は来ていない。

ん?母親が息子を引き取って、父親が娘を引き取るってこと?
まだ、小学生なのに?

 

「マサユキ」の今後がどうなるのかは、当然知る由もありませんし、他人の家のことなので、私がどうこう言える立場にはありません。

でも、「マサユキ」は、今日、何で駅にいたのか。

7月下旬から預けられっぱなしの彼が、そろそろホームシックになっても不思議ではありません。

母親に父親につながっている駅で、楽しかった日々に思いを馳せていたのかもしれません。
ひょっとしたら、両親が揃って迎えに来てくれる、そんなことをすら思っていたのかも。

 

事情は様々なのでしょうけど、年端もいかない子供です、あまり心は惑わせないでやってほしい。

 

ちなみに、「マサユキ」の母親は近所なので当然昔から知っていて、ある時、私と彼女を結婚させようとじじい達が画策したことがありました。
お互い、それこそオムツが取れた頃から知っているレベルでしたので、笑ってかわしましたが、その彼女がひょっとして出戻りしてくるかもなんですね。

 

ヤだな。。。

 

「ゴウタ」の父親との話しを終え、帰ろうとすると、この家のじじいが、

 

『ガタガタ何騒いでんだ?』
ゴウタ父:「マサユキがいなくなったんだって」
『駅行くって言ってたが』
私:「いつ?」
『昼』

 

はぁぁぁぁぁ~~~~~?????!!!!!

 

クソじじい、あんた知ってたのか?
「ゴウタ」なんてビンタ食らわしちゃったんだぞ!

 

『ん?なんぞ???』

 

もういいです、さっさと寝てしばらく死なない程度に起きないでください。