鉛の風船

ロックです ジャズです ぼんくらなおっさんです

後悔先に立たず

何日か前から「Genesis」の70年代のアルバムをヘビーローテーションしています。
それこそ朝から晩まで、仕事中もかけっぱなし。
決算に伴って仕事を調整したため暇なんです。

 

「Genesis」を初めて聴いたのは高1の頃で、誰かが見つけてきて仲間内で “これはいい” みたいなことになっていました。
たしか最初は「Seconds Out」だったと思います。
当時は洋楽全盛だったんです。

みんな音楽がわかってるふりした生意気なガキ共でした。
誰も聴いていなさそうなアーティストを見つけてLP買ってきては “これ聴いたことねーだろ、スゲーいいんだよ” と通ぶり、ドヤ顔で無理貸しして満足感に浸る、そんな日々を送っていました。
まれに背筋がゾクっとするほど衝撃的なアルバムに出会うこともありますが、大抵は大失敗。
そんなことばかりやっているので、有名なアルバムはほとんど持っていないし、少ない小遣いやお年玉やバイト代はすべてパー。
バカですね。

 

ハイッ!そんなバカの筆頭が当時の私です。
でもおかげで、聴く耳と無駄な知識は確実に鍛えられたと思います。

 

当時「Genesis」は、まるでピンときませんでした。

「フロイド」ほど暗くないし重くもないし泣きメロもない、「イエス」ほどテクニカルじゃないしスピード感もない、「クリムゾン」の突き抜けっぷりには到底及ばない、「ELP」のハチャメチャさとはそれこそ別次元。
妙に地味な印象しかありませんでした。
でも、もっと地味な「Barclay James Harvest」は大好きでした。
「Octoberon」なんて今聴いても涙ものです。
「ガブリエル」と「フィル」の声にどうもなじめなかった、というのもあったのかもしれません。

 

それでもずっと気にはなっていて、時々思い出したように1枚、2枚と買っていました。
気が付けばほとんどのスタジオ・アルバムと1枚のライブ・アルバムが揃っていたのですが、何度か聴いたのはヒットチャートを席巻した80年代のアルバムだけで、それ以外はまともに聴くこともなくラックの飾りに。

 

それが数日前、何の脈絡もなく突然聴きたいと思い立ち、聴き出したらこれがスッと入ってくる。
けっして “癒し” のサウンドではないのですが、何ともいえず心地いい。

「Genesis Live」を除く、「Nursery Cryme」から「Seconds Out」までを繰り返し聴いています。

 

こうしてあらためてじっくり聴いてみると「Genesis」はやっぱり「バンクス」あってこそなんだなと気付かされます。
彼のイマジネーション豊かな表現力は圧巻です。
「ガブリエル」が抜けても「ハケット」が抜けて三人になっても失速せず、むしろ加速していったのは、もちろん「フィル」の頑張りが大きいのですが、それができたのは間違いなく「バンクス」がいたからだと思います。
彼がいたからこそメンバーが変わろうが、方向性が変わろうが「Genesis」のサウンドはその本質を見失うことなく大成功を収めることができたのでしょう。

どのアルバムもクオリティが相当に高い。
傑作揃い。
特に「Selling England By The Pound」「A Trick Of The Tail」「Wind & Wuthering」が凄い。
一分の隙もない。
迷いがまるで感じられない。
当時のメンバーそれぞれの充実ぶりがひしひしと伝わってきます。

70年代の「Genesis」はこんなにも凄いバンドだったんですね。
過去の自分をブッ飛ばしたい気分です。

 

ありがとう「Genesis」。

そして「フィル」、愛する家族と満ち足りた日々を送ってください。
あなたのひたすら粒立ちのいいダイナミックなプレイ、大好きでした。
もう聴けないんだね。
「Brand X」よく聴いたよ。

 

疲れてるのかな、自分。
それともやはり “年” か。。。

 

ライブを体験したかった。

 

よっしゃーーー!次はトリオ時代の聴き直しだ!!!

 

[追記]

間もなく「トニー・バンクス」のニュー・アルバムがリリースされます。
と言ってもオーケストラによるクラシック作品で、「バンクス」は作曲者です。
クラシック、やりたかったみたいですね。
“静かなる男” の創作意欲は衰えることを知らないようです。

タイトルは「Six - Pieces for Orchestra」で、「バンクス」自身が演奏で参加しているのかどうかは不明です。
ちなみに前作の「Seven - A Suite for Orchestra」もクラシックなのですが、こちらにはピアノで参加していたようです。

「Seven」は壮大な組曲で、その筋の方々にすこぶる評判がよかったようですが、今回の「Six」は「Pieces for Orchestra」となっていて、組曲ではありません。

リリースは4月24日(本国イギリスでは、3月26日にリリース済み)です。

 

「Six」より。
曲は “02:08” からです。

クラシックというより「バンクス」のソロ曲をオーケストラが演奏している、といった印象で、非常に聴きやすい作品に仕上がっています。
必要以上にクラシックを意識することなく、自身のイマジネーションを素直に表現したことがよい結果につながったようです。
「Martin Robertson」のアルト・サックスが効いてます。

 

こちらは「Seven」より。

 

“イギリス” だぁ~!

 

Amazonで信じられない価格で売っていたので、「Seven」と「Six」両方注文してしまいました。