入口のない出口
姪っ子(高3)が、大ファンである「ももいろクローバーZ」に初めて出会ってから(当時は “Z” が付いてなかった)ちょうど4年だそうです。
当時中学生だった彼女は、たまたま母親と出かけていた家電量販店の一角で、「ももクロ」と偶然出会ってしまいました。
店内を、彼女曰く “ピンク色の金魚” のように移動する自分とさして歳も違わないと思われる少女たち。
ヒラヒラしたカオスな衣装を着た5人の少女。
周囲の人たちは、何だ?とチラ見するだけ。
ヒラヒラ少女たちが向かった先は、小さな人だかり。
ほんの十数人程度だったと思われるファンと思しき人たち、それを遠巻きに見る興味本位の人たち、その隙間から覗き見た先には、今見た少女たちが、“ヘタクソなダンス” を踊っていたそうです。
マイナー・デビュー曲のキャンペーンで店の一角を借り、ちょっとしたステージをやっていたのですね。
何だあれ?
変なの!
それが第一印象だったそう。
すでに「リンキン・パーク」や「ミューズ」などにハマっていた彼女の目にはいったい何をやっているのかさえ理解できなかったそうです。
しかし、帰宅しても次の日になってもそのまた次の日になっても、たまたま目にした変な少女たちがどうしても忘れられない。
その時は名前すら知らなかった「玉井」さんが夢にまで出てくる。
彼女曰く、“何かが弾けた” 瞬間です。
気付いたときには一緒に突っ走っていた。
それが “アイドル” という独特な存在であることも知らずに。
あくまで、一緒に走っていた、追っかけていたのではないそうです。
この辺が彼女なりの小さな意地か?
「ももクロ」が見せてくれる、見たことのない世界が、日々の進化が、それはもう刺激的で、楽しくてたまらなかったのだそうです。
特に「玉井」さんの印象は相当強烈だったようで、彼女が姪っ子にもたらしたカルチャー・ショックは想像を絶するものでした。
部屋や持ち物がとたんにポップになり、私服まで「玉井」クローンに変わって行くのですから。
部屋の壁に「チェスター」のポスターが張ってあり、「スティーブ・ヴァイ」のツアーTを着て平気で遊びに行くような子だったのに。
それが最近、その「ももクロ」への思いが、なんだか失速してきているような気がします。
きっと、基本的には今も何も変わってはいないのでしょうけど。
ただ、盲目的に突っ走っていた頃とは明らかに違う気がします。
受験やら何やら彼女を取り巻く環境も随分と変わってきていますので、当然かもしれません。
が、きっとそれだけではない。
彼女が「ももクロ」に熱狂するのは、ズバリ、
前を向いて進化し続ける、常に自分の想像を超えた新しいものを観せてくれる、から。
それに尽きると思います。
デカ箱におけるライブがまさにそうですね。
間もなく “Z” の付いていない時代の作品集「入口のない出口」が「ももいろクローバー」名義でリリースされますが、これにほとんど興味を示さないのは、やっぱり後ろを向いている匂いがするからかもしれません。
1枚しか買わないそうです。
あり得ない、先頃リリースされたニューアルバム「5TH DIMENSION」なんて6枚も買ったのに。
ほとんど「玉井」さんのトレカ目当てではありますが。。。
まあ、近所のじいさんらを手玉に取り搾取しまくったお年玉もそろそろ底を突いてきている、ということもあるのかもしれませんけど。
「5TH DIMENSION」は、やたらジャンル分けにこだわる現在の音楽シーンをザックリと切り取り、“はい、これがももクロです、屁理屈いらないからねー、てへぺろっ!” と言ってのけているようなポップス・アルバムの傑作だと思います。
目だけだと「あーりん」が突出してキャワ、、、ゴホン、「百田」さんの目力はやっぱ凄い。
過去作品集「入口のない出口」のリリースはさぞやタイミングが難しかったと思います。
1stアルバムからかなりのスパンが空いていた中でこれをリリースしたら、完全に守りに入ったと取られかねない。
しかし、「ももいろクローバー」時代の楽曲の音源化への要望は根強い。
いつぞやの東武動物公園でおこなわれた前ファンクラブ会員向けのライブのように、一度、清算しておく意味合いもあるのかもしれません。
「5TH DIMENSION」をリリースしておいて、その少しあとにリリースしたのは正解だと思います。
姪っ子は、これを機に、昔のようなライブに戻ってしまうかもしれない、B面集とか意味のないアルバムを連発してつまらなくなっていくかもしれない、そしてそのまま縮小安定維持に向かってしまうかもしれない、そんなことを恐れながら「ももクロ」の目指す先を冷静に見ている気がします。
姪っ子曰く、「入口のない出口」とは、入り口は閉じてあるからね、聞きたいと言っていた方々だけの為に、出来る限りの曲を音源化したから、後は出口を通って「Z」に戻ってきてね、私たちの進化についてきてね、これでもう、昔云々は言わせないよ、という「ももクロ」が突きつけた挑戦状、、、ならいいんだけど、とのこと。
ファンの方々が「ももクロ」に求めるものは当然ながらそれぞれ違います。
それはどのアーティストだって同じ。
それでいいし、そうじゃなくてはおかしいです。
「入口のない出口」に何を感じるか、それも同じ。
ただ、その先の選択がもしぬるい道だった場合、ハマったときと同様、姪っ子が「ももクロ」を離れるのは一瞬であるような気がします。
兎にも角にも姪っ子の根底には未だ根強く「ももクロ」があり、それを冷静に見ることができるようになった今、余計に厄介な存在になったのだけは間違いがないようです。
彼女は今、目の前で、サイ振りながら中間テストが終わった開放感を買ったばかりの「ももクロ」BDにぶつけています。
さてと、そろそろ私も参戦します。
長いので、徹夜かも。。。