“りょう”の一大事
『“りょう” が死んじゃうよ!ねえ! “おっちゃん” !!!』
姪っ子が血相変えて病室に飛び込んできたのは、一昨日の夕方、暇を持て余しウトウトしていたところでした。
今にも泣き出しそう。何事だ?
同室の患者さん、いつも申し訳ありません。
“りょう” というのは、ウチで飼っている猫です。
推定年齢10歳(だったかな?)くらいの白いメスの雑種。
その日の午後、ウチに寄ったら、じいさんとばあさんが心配そうにあたふたしていて、そばで “りょう” がぐったりしていたのだそう。
じいさんとばあさんは、休日だから休み明けに医者に連れて行くと言うし、両親に相談しようにも仕事で不在。
そこで、何度も私に留守電入れたり、メールしたりしたがなんの返信もなく、らちがあかないので飛んできた、ということでした。
ムチャクチャ怒ってる!
休日は検査も治療も何もないので、ひたすらダラダラ、ウトウトしてました。
すぐにじいさんに電話して様子を聞くと、朝から具合悪そうにしていて、昼過ぎにはもうぐったりしてしまい、水を飲むことすら出来ず、時折小さく唸りながら横になったきりだ、とのこと。
これはヤバイ、絶対危ない、休み明けまでなんか持ちっこない、すぐに休日診療をしている獣医さんを探し出し、そこに連れて行くよう言いました。
こういうとき、ネットは本当に便利です。
姪っ子は、ササッと獣医さんの地図をメモし、じいさんとの電話が終わる頃にはいなくなっていました。
しかも私の財布から1~2枚素早く抜いて。
獣医の治療代は高いので、じいさんがそれを忘れて少ない手持ちで行ったらマズイと思ったのでしょう。
後から聞いた話では、じいさん、全然足らなかったそう。。。
凄い行動力、判断力、機動力。
それをなぜ日常生活や学校生活に発揮出来ない?
“りょう” は、助かりました。
肝臓がやられていて、危険な状態だったそうです。
肝臓って、、、のんべえか?
さすが私の飼い猫!
まだ流動食をスポイトで流し込んでいる状態だそうですが、水は自ら飲むし、外に出たいとビービー鳴きながらじいさん、ばあさんを困らせているそうなので、ひとまず安心です。
1週間は外出禁止、だそうだぞ、“りょう!” 、ぎゃはははは!ざまーみろ、少しはおとなしくしとけ。
オレの新品液晶モニタを引っ掻いたバツだ!
でも、獣医さんによるとこれほど急に症状が悪化することは珍しいそうで、何かを口にしたのではないか、とのこと。
何かって?毒のようなもの?
猫は足の裏に異物が付くとそれをなめて落とす習性があるので、たとえば何かの洗浄液のようなものがこぼれていて、それを踏んでしまった結果、ということも考えられるそうです。
周りが畑で裏が山という環境に住んでいるので自由に外に出している為、その可能性もなくはないですが、遊びに行くといってもせいぜい隣の家か裏山くらい。
いつも呼べば飛んで帰ってくるような所にいます。
“りょう” を飼い始めてから医者にかかったのなんて初めて。
今のところ、原因はわかっていません。
本当に助かってよかった。
独身で子供のいない私にとって、“りょう” は、年寄り夫婦とおっさんの3人暮らしの家に、笑いや癒しをもたらしてくれるかけがえのない存在なのです。
まあ、いつもここに生意気でうるさい姪っ子も加わってきますが。
“りょう” がウチにやってきたのは10年位前。
床下に入り込み、やせ細って虫の息だったのを保護したのが出会いです。
目は開いていましたが、明らかに生まれたばかりの、私の手のひらで丸くなれるほどの小さな命でした。
ウチは、両親、私、妹、その娘である姪っ子、皆バカが付くほどの猫好きです。
私が物心付いた頃にはすでに家には猫がいて、よくケンカに負けて泣かされてました。
そういう猫好きな一家に保護された子猫は、後に “りょう” と名付けられ、当然のごとく家族の一員となったわけです。
そんな “りょう” の一大事。
今回姪っ子は明らかに必死でした。
実は、昨年彼女は2匹の飼い猫を相次いで亡くしています。
1匹は、東日本大震災のとき、驚いて外に飛び出したきり帰って来なかった子。
1年以上も帰ってこないということは、もう亡くなってしまっていると考えるほかないでしょう。
彼女はまだ諦めていませんが。
もう1匹は、その年のまだ梅雨も明け切らない頃、突然病死してしまった子。
以前も書きましたが、当時、彼女が、リリースされたばかりの「ももいろクローバーZ」のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」を聴きながら必至に悲しみをこらえ、そのショックから立ち直ろうとしていたのをよく覚えています。
その後、いなくなった愛猫たちへの愛情は、一身に “りょう” に注がれ、
“うるさい”
“痛いし”
“あーっこのシャツ買ったばっかなのに”
“宿題かじるなーーー”
“お前太った?”
“あれ、りょういないの?”
などなど、今ではすっかり姉妹のような、よき相棒同士。
ホント仲がいい。彼女がウチに来ると、外で遊んでいた “りょう” が気配を察して、いつの間にか帰って来てるほど。
昨年のようなつらい思いは、二度とごめんだったのでしょう。
それにしても、病室に飛び込んできた姪っ子が泣きそうだったのには本当にびっくりしました。
彼女は、幼少期からめったなことでは泣かないんです。
ここ数年で泣いたのを見たのは、「ももクロ」絡みだけ。
まったく、“やさしい伯父さん” が入院したと知ってもしばらく顔も出さなかったくせに。。。
もう、お願いだから、私がウチに戻るまで、誰かが具合悪くなったり、そういうのヤメテ!
た・の・む・か・ら・・・。