鉛の風船

ロックです ジャズです ぼんくらなおっさんです

ヤケボックイに未練たらたら

ヤケボックイに火種なし!」の続きです。

 

そして、運命の3日目。

 

朝の、ホームルームにはまだ早い時間から、姪っ子(高2)の周りにわらわらとクラスの連中が集まり出し、職員室の廊下には彼女のクラス担任を待つ数人の生徒が。

 

実は、前日の夜、彼女はクラスの生徒全員と他のクラスの知り合い数人にメールを送りつけていたのです。

簡単に事情を説明し、ひょっとしたら「ももいろクローバーZ」が学校に来てくれるかもしれない、ひょっとしたらこんなことになるかもしれない、と一つの動画のURLを貼って。

あとは受験しかないんだから、その前に「ももクロ」呼ばね?、、、と。

 

その動画がこれ。

 

熱いねーーー暑いねーーー涙もろいおっさんは、泣いてしまうねーーー!

 

たしかに、募集要項には、

ももクロがどこかの学校へ突撃訪問しちゃうなんてこともあるかもよ~!?”

とはある。

 

しかし、、、「ももクロ」が来てくれる保証なんて何処にもない、というか、まずない、ほとんどハッタリ、大風呂敷!

 

結果、ある生徒は彼女に協力を申し入れ、ある生徒は担任に直談判しに行き、ホームルームが始まる頃には職員室の前で20名ほどの生徒が担任を待ち構え、挙句に呼び出すという事態にまでなってしまったそうです。

手段はどうあれ、担任が言う “少なくともクラスの過半数くらいの同意” を得ることに成功し、教室で手ぐすね引いて待ち構えていると、校内放送で天敵、学年主任からの悪夢のような呼び出しが。

 

これが最後の関門だ、コイツさえ乗り越えれば、と、一人決戦の場に赴くと、

「そうだな、お前が首謀者だな」
『・・・』
「何した?」
ももクロ学校に呼びたいねってメールしただけです』
「もったいないなー、あんなに速いのに」
『・・・』
「それだけの情熱を陸上部にささげてくれることは出来なかったか」
『・・・』
「あのな、物事には順序ってものがあってな」
『・・・』
「そりゃぁ部活は自由意志だよ、でもお前のような生徒が入学してくれたと知れば嫌でも期待するだろ」
『・・・』
「先生があれほどお願いして、ご両親にまで頭下げたのに、お前はいつも忙しいの一言だ」
『・・・』
「それで自分の個人的な要望は通せと?」
『・・・』
「先生嫌いか?」
『・・・はい
「わかりました、今回は私が責任持って許可します、ただし、今後は何かあったら、まずは担任の先生、そして主任であるわた、、、」
『ありがとうございます!!!』

以上、彼女が私から借りていったICレコーダーより。

言った、言わないで怒られないように、先生との会話をすべて録音する、と言って勝手に持って行きました。

 

「お前さあ、やり過ぎじゃね?」
『ん?』
ももクロなんて来っこないぞ、CD一枚のためにみんなにハッタリかましてどーすんの?」
『どーもしない、あ、でも、ももクロあんなにみんな知ってるなんて、ちょっとびっくりした』
「そーじゃなくて、みんなももクロ来るって思ってんじゃないの?」
『思ってないよ』
「そーか?来なかったらお前立場ヤバいんじゃ?」
『へーきだよ、みんなちょっと面白そうって付き合ってくれただけだし』
「そうか?だって職員室に押しかけるなんてマジだぞ」
『あー、あれは頼んだんだよ』
「頼んだ?」
『うん、バレー部の○○に、、、アイツ最近ももクロにハマったって言ってたから』
「何を頼んだん?」
『朝練終わったら職員室の前に何人かでたむろして、先生呼び出してって』
「え?ウソだろ?」
『ホント、欲しいって言ってた “ももパン” の初回盤あげたらソッコーOKだった』
「じゃあ、そいつらの立場マズイだろ」
『だからへーきだって、バレー部だよ、学校の看板だよ、アイツらにあんなことくらいで文句言う先生いないし』

 

・・・・・。
なんだコイツ。
怖い。。。

 

勝利!!!

 

結局、「ももクロ」のCDを担任宛で送ってもらい、ニュー・シングルのリリース前の1週間、昼休みにそれを校内放送する、その確約を取り付けたのでした。

 

学校で、勉強もそっちのけで、担任どころか、音楽教師、学年主任、教頭、クラスの同級生、果ては部活に汗を流している他のクラスの生徒まで巻き込んで、たった一枚のCDを手に入れようとする。

 

とんでもない執念。
母親にそっくり。

 

この子は、やらずに諦めるということを知りません。
私は子供の頃から、やってもどーせダメだろ、の繰り返し。

この子は、負けず嫌いどころかそもそも負けるという概念が欠如しています。
私は負けたシーンなんていくらでも思い起こせる、負ける前に諦めたシーンなんてもっと多い。

この子は、まず誰にでも当たる、当たって砕けろ、でも砕けるつもりなんて毛頭ありません。
私は砕けるかもしれないなら、そもそも当たらない。

 

ももクロ」が絡んだときの彼女の暴走っぷりは、もうイヤと言うほど理解していたつもりでしたが、今回はそんな私の理解の遥か上を行っていました。

ただの子供だと思っていたのに、狡猾さも見え隠れしている。

 

そろそろ、私の手には負えない感じです。。。

 

先生方、生徒の皆さん、本当にごめんなさい、そして、ありがとう。
こんなヤツだけど、これからもよろしくね!

 

ところで姪っ子よ、音楽の先生のことだけど、もちろん前任のね、退職したからって必ずしも、ねえ、そうとは限らないんじゃ?

『えー、くどい、ママに聞いてあげるし』
「いや、ママじゃなくて、あの、ねえ、担任とかに」

 

『ヤダ!!!』