鉛の風船

ロックです ジャズです ぼんくらなおっさんです

今まさに未踏の世界にその一歩を踏み出さん

今日、早めに家を出て、ピアノ教室へ行く前に夏服を少し調達しようと高崎のデパートをウロウロしていました。

 

めぼしい物もなくTシャツを3枚買って何を見るでもなくふらふらと時間をつぶしていると、突然パタパタパタと小さな靴音がして背中をツンツンと突かれ。

一瞬、姪っ子(高3)か、と嫌な予感がしたのですが、振り返ると、なんと、ピアノ教室のレッスン時間待ち仲間の小学生女子、通称エアピアノの子でした。

ニッコニコしながら見上げている。

 

「あっ!●●ちゃん、買い物?」(デパートなんだから当たり前)
『ママと夏のお洋服買いに来たの』
「んと、ママは?」
『お会計してます』
「ああ」
『6年生だからおねえさんっぽいのにしたの』
「へー、いいね、え゛?●●ちゃん6年生なの?」
『はい』

 

って、え?はぁ?何ですと?
6年生なのーーーーー!!!
てことは、当然昨年は5年生、マジか?
ずっと3年生か4年生くらいかと思ってた。

 

「●●ちゃんおしゃれだからきっと可愛いお洋服なんだろうね」
『かわいくないよ、きれいなお洋服、かわいいのはもう卒業』
「あ、はい」
『おじさん何買ったの』
「Tシャツ」
『ふーん、また黒いの?』
「白もある、見る?」
『いい、でも今日も黒い、もっと明るい色着たほうがいいよ』
「はい、そうですね、前にも言われたね」
『季節に合わせたお色のお洋服を着ると体も元気になるんだよ』
「うへっ!」
『いつも黒じゃ病気する』
「・・・はい、ごもっともです」
『お金ないの?』
「い、いや、なくはないよ」
『じゃあ、ここたくさんあるからちゃんとお買い物してね』(新手の販促か?)
「はい、ありがとう」
『一緒にセレクトしてあげてもいいけどママと一緒だから』
「とんでもない!がんばって季節の色買うよ」

 

セレクト!
君にそんなことしてもらったらそれこそお金が足らなくなりそうだから遠慮します。
君、ホントに小学生?

 

ふと気付き、辺りに目をやると、店員さんがこちらをチラチラと見ている。

さっきまでお母さんと思しき人と買い物をしていた少女にでかくて怪しいおっさんが声を掛けている。
あのおっさんは絶対にパパじゃない。
いや、あの子のパパは前に見たことがある。

怪しい、、、。

 

マズい、警備員を呼ばれる前にさっさとこの場を離れなくては。
そう思った瞬間、彼女を呼ぶ母親の声が。

 

『ちょっと待ってて』

 

そう言い残して彼女は母親の元へとかけって行きました。

少し遠くにいる母親(すでに面識はある)にお辞儀をし、一安心し、一刻も早くこの場を離れようとする私に、今度は親子してズンズン迫って来て、お母さん。

 

『いつも娘がお世話になっております、この後もしお時間ございましたらご一緒にお茶、いかがですか』

 

という、限りなく社交辞令な攻撃を繰り出し、私の出方を探ってくる。

 

ここは、“残念ですが予定がある” 砲で迎え撃ち、かろうじてその場を回避しました。
去り際のエアピアノの子の不満げな表情は、きっと買ったばかりの “おねえさん” な服を自慢したかった、でいいのかな。

よくわかりません。

 

なんだか、自分に子供がいないのにママさんらと接する機会がやけに増えており、戸惑うことしきりです。
まったく未知の体験なので、新鮮ではありますが、接するためのノウハウが皆無なので、とにかくどうしていいのやら途方に暮れるばかりです。

相手の子供も、近所の泣かそうがどうしようがどうでもいい子とは違うので恐ろしく神経使います。

 

ピアノ教室に入会したのは、我がピアノ教師メガネちゃん目当てだったのに、意図せずして、全く知らなかった社会へとどんどん引きずり込まれている気がします。

 

でも、それが苦痛ではなく、今度こういうシーンに遭遇したら、こうしよう、とか反省している自分がいて、驚きます。

 

知らなかった世界、知らなかった社会、まだまだあるようです。

 

それにしても、エアピアノの子が6年生だったとは。
ということは、同い年だと言う同じレッスン待ち仲間のゲーム少女も6年生。
そういえば改まって歳を聞いたことはなかった気がする。
あ゛っ、修学旅行のお土産もらったじゃんか。
6年生だ。

私の人を見る目は全く機能していないようです。
これで自分に子供がいれば、話し方や雰囲気で大体察しは付くのでしょうけど。
ショック、自己嫌悪。

 

お誕生日会、腹を括るしかないか。

 

ピアノ教室に入会してしまった時点で、私は子供が苦手なんて言ってはいられない状況に置かれてしまっていたようです。

 

で、デパートを出て、教室へと乗り込みました。

 

最前線へと向かう決意を持って。