VS 黒いギャオス の続き
「VS 黒いギャオス」の続きです。
獣医さん、猫を診察するや “栄養状態は悪くないようですが、この子本当に野良猫ですか?” と。
え?それもそうだ、慌てて野良猫と決め付けていたけど。
すると “ジンナイ” のおばさん、
『間違いありません!』
聞けば、この猫は数ヶ月前から他の野良猫と共に池の辺りにいて、“ジンナイ” の散歩に出る度餌を与えていたのだそうです。
裏山の公園は最近本当に野良猫が増えました。
散歩者が多いところなので、中にはわざわざ餌を持ってきて与えている方もいます。
本当は褒められるべき行為ではないのですが、そのおかげで人家のある辺りまで下りて来て悪さをするということは今のところないようです。
おばさんもその一人だったわけで、、、。
何より、諸悪の根源は猫を捨てていった無責任な人間です。
ところで、散歩している方の話によると、よく白い猫が野良猫たちを追い掛け回して、ギャーギャー鳴かしているそうですが、その白い猫、どう考えても “りょう” としか思えない。
“りょう” のトレーニングの相手もしてくれているのね、、、かわいそう。
で、獣医さん、“わかりました、この子の命は全力で助けますが、助けた命をどなたが責任持ちますか?” と。
つまり、また野良猫には戻させない、という獣医さんの静かなる圧力でした。
おばさんと二人で顔を見合わせ “どーする” とかやっていると、一緒に来ていた姪っ子(高3)が、
『あたしが責任持つし!早く治して!』
と、言い放ったのです。
獣医さん、驚きつつもにこやかにうなずき、治療が始まりました。
待つ間、姪っ子に。
「お前、なんでわかったの?」(なぜ、公園での状況がわかったのか?)
『“おっちゃん” キョドってたし、リダイアルしたらおばさん出たから話聞いた』
「ああ、でもゴミ袋はねえだろう」
『えええ!カラスは生ゴミだよ』
つまり、おばさんに電話をし、現状を把握した彼女は、カラス=生ゴミ、という極めて単純な発想で、ゴミ置き場のケージ内に回収車に無視されたゴミがあったのを思い出し、すでに1日以上経ちかなり臭いのを平気で持ってきたというわけでした。
あのぉ~、恐らく池の脇に生ゴミが散乱してると思うんですけど、誰が、、、はい、私が後で片付けておきます、、、ウルウル。。。
「カラスがゴミ袋に食いつかなかったらどうするつもりで、、」
『そんときは “りょう” だよ』
「ぎゃはは! “りょう” だってカラスは無理だし」
『ちがう! “りょう” が行けば “ジンナイ” がビビッてほえまくって暴れるからカラスもビックリするかも』
・・・・・鬼め。。。
ちなみに、この “ジンナイ” という犬は姪っ子と我が愛猫 “りょう” が大嫌いで、特に “りょう” が視界に入るとパニックになります。
そうこうしている内に一通り治療が終わり、獣医さん、“もう大丈夫です、それでどうされますか?しばらく面倒見ていただく必要がありますが、お嬢さん責任持てますか?” と。
すかさず姪っ子が、
『はいっ!!!』
と。
「ちょちょちょちょ、お前飼う気かよ」
『ママに聞かないとわかんない、でも治るまであずかる!』
「猫なんか世話してるヒマねーだろ?」
『へーき、ヒマなばあちゃんとじいちゃんが引っ越してくるから』
へ?知ってたのね。
この子の父親の両親が同居すべく引っ越してくるのです、というかもう今日、引っ越してきたはずです。
ウチには “りょう” がいるし、おばさんちには “りょう” のせいで猫恐怖症の “ジンナイ” がいる。
とりあえず、治るまでは姪っ子が預かるしかないような気がします。
子猫はキズだらけでしたが幸い目や耳など彼らが生きていく上での重要な箇所への致命的な損傷はなかったとのことでした。
よかったよかった、って、それはいいのですが、請求書を渡され愕然。
そうでした、獣医、高いんだってば。
おばさんは散歩中だったし、私も慌てていたので、二人とも一文無し。
とりあえず免許証で、身分を証明し、後で支払いに来るということで了承を得ました。
怪我した野良猫を持ち込んで、それはいいが、治療中に持ち込んだ主がいなくなってしまい、それっきりというパターンが少なくないそうです。
ちゃんと始末のつけられない善意なら迷惑でしかない!
一応、一件落着となりましたが、義弟のお母さん、姪っ子のばあちゃん、犬だの猫だのあまり好きではなかった気がするのですが、平気かな。
嵐の予感。。。
獣医からの帰り際、姪っ子が獣医さんに。
『獣医さんって大変ですか?』
と。
獣医さん。
“大変ですよ、どうして?”
『獣医さんになりたいんです!』
“ほぉ!そうなの、どうしてなりたいの?”
『動物はしゃべれないから、あたしが聞いてあげたい』
“ふーん、楽しみだね、もしなれたらうちに修行しに来な”
『えー、ありがとう、でもムリです、北海道で動物助けるので』
“はぁぁ、ひょっとして北大行くの?”
『はい!』
“そっか、すごいね、楽しみだよ、聞きたい事があったらいつでも来なさい”
『ほんとですか、ありがとうございます!』
姪っ子、ご機嫌でした。
でも先生、もし獣医になれたらしばらくウチに来なさい、とか、聞きたい事があったらいつでも来なさい、とか、アイツ、思いっきり真に受けるんですけど大丈夫?
社交辞令を知らない子なんですけど。
まあ、何があっても私は保護者じゃないので、よろしくお願いいたします。
えーと、それより姪っ子、卒業しても北海道に留まるつもりなの?
えーーー!初耳なんですけどぉ!!!